カッパ室長です。
今回は月マガ基地で連載中の漫画 KCデラックス『罪と罰のスピカ』第2巻の見どころ紹介や感想を書かせていただきます。
『親愛なる僕へ殺意をこめて』『降り積もれ孤独な死よ』の井龍一先生の最新作です!
※ネタバレを含むのでご注意ください。
第1巻の紹介記事はコチラ↓↓

『罪と罰のスピカ』
原作:井龍一
漫画:瀬尾知汐
第2巻の見どころ(ネタバレ注意)
元刑事の“心残り”
触れるとその人の心を見ることができる女子高生・都麦澄光。
彼女は好きな歌い手を応援する『推し活』の軍資金集めのためドーナツ屋でバイトをしていた。
そこでスピカはいつも端の席でコーヒーを飲んでいる渋い顔のおじいさん・大隈とおしゃべりをする仲になる。
彼は病気が原因で早期退職したばかりの元刑事で、刑事時代に担当した事件の切り抜きファイルを見返すのが唯一の楽しみだとスピカに語った。
そのファイルの中でスピカが見つけた「13年前の母子殺人放火事件」は未だに犯人が捕まっていない未解決事件で、大隈は刑事を辞めた今もこの事件を追い続けていた。
大隈は犯人は被害者の夫である亜仁多守だと考え当時捜査をしていたが彼にはアリバイがあり、噓発見器にかけても反応はなく無実が証明されていた。
それでも亜仁多守が犯人だという線を諦めきれない大隈はこのドーナツ屋に通いながら向かいのビルにいる亜仁多守を襲う機会を窺い、拉致して拷問で無理やり自白を引き出し、この手で死刑台に送ってやると考えていたのだ。
計画を実行しようとしたその時、大隈は何も知らないはずのスピカに「やめておいた方が良いですよぉ」と引き留められてしまう。
スピカは大隈がこれから何をしようとしているのかをズバリ言い当て、さらに「亜仁多守はそもそも犯人じゃないんですぅ」と言い出すのであった。

感想(ネタバレ注意)
今回は元刑事が追い続ける「母子殺人放火事件」のお話や、スピカの同級生・十秤天真のお話などが描かれました。
まずは「母子殺人放火事件」のお話から。
スピカは元刑事の大隈の間違った行動を止め、さらに本当の犯人に裁きを下していきます。
その真犯人がまさかのスピカが推していた歌い手・山口ネコ(本名:山口凛)という女性でした。
これにはかなり驚きましたね。
彼女が犯人だと初見で当てれた人はいるのでしょうか?
私は最初スピカが推し活の話をしていた時は全然関係ない話だと思っていました。
でも山口ネコは当時亜仁多家の下の階に住んでいてメチャクチャ関係していたんですよね。
大隈が当時聞き込みをしていた時に団地の住人が「騒音か何かで階下の人が亜仁多さんに苦情を言いに行ったことがある」と言っていたのが重要なヒントだったようです。
この時しっかり下の階に住む山口ネコを調査すればすぐに事件を解決できたのかもしれません。
でもその時は亜仁多守の方が悪いような言い方だったからスルーされてしまったんですね。
スピカは大隈に触れたことで事件の詳細を知り、亜仁多守のもとへ行き触れることで彼が無実であることを知りました。
そして偶然推しである山口ネコとチェキを撮った時に彼女が犯人だと気づいてしまい、裁きに向かいます。

普通に山口ネコの家に侵入してるの怖すぎですね。
殺す手口も酒に睡眠薬を混ぜて動けなくしてから、煙草の火で焼身自殺したように見せかけるとか手慣れすぎです。
スピカは大隈には死期が近いこともあり全てを明かしてしまいましたが、これは失敗のような気がしますね。
大隈は『怪物』であるスピカを野放しにしてはいけないと判断し、死ぬ直前にメモを残し、同僚だった目暮という警察に託しています。
このメモが後々スピカを捕まえるきっかけになってしまいそうですね。
次に十秤天真のお話へ。
これは時系列的には第1話のスピカが「双子座事件」の犯人を駅のホームで突き落とす頃のお話で、最後に人身事故が起きて天真が嬉しそうにその現場へ向かおうとして終わっていました。
天真は自称“ナチュラルボーンキラー”で、人生の最後に絞首台というステージに登ることが夢というちょっと変わった少年です。
しかし、クラスメイトをカッターで無差別に切り刻もうと意気込みはするが結局何もしなかったり、スピカが周りの女子からイジメられているのを助けたりと根は良い子のようです。
そして天真はスピカが天真が観ていた殺人鬼ドラマの絞殺シーンがリアリティがないと指摘したことで、スピカは自分と同じ殺人ガチ勢だと思いときめいていました。

こうしてスピカと仲良くなった天真。
天真の存在は今後物語にどう影響を与えていくのか気になりますね。
天真が偶然スピカが殺人鬼であることに気づいてしまい、彼女を捕まえるために一役買うのでしょうか?
それとも天真が無自覚にスピカにアドバイスを送ったり、スピカを救う存在になっていくのかも。
第2巻のラストでは新たな事件のお話が始まりました。
最初に父親に虐待される子供の回想シーンから始まり、回想後は青年がタクシーに乗って「今から街に出て人を殺す」と言い出します。
その後の展開が衝撃過ぎました。
誰もが回想シーンの子供はこの青年なんだろうなと思いますよね?
しかし青年は関係なく、実はタクシードライバーの方が回想シーンの子供で殺人犯だったのです。
あんな普通の優しそうなオジサンが殺人犯だとは…
しかも最後のページのオジサンの顔怖すぎます。
次回、スピカはこのタクシードライバーをどう裁くのか楽しみですね。
単行本第3巻は2025年6月頃発売予定です。
井龍一先生の他の作品紹介
『降り積もれ孤独な死よ』
富字山南警察署の刑事・冴木仁は空き巣の通報を受けて、とある屋敷へ。
ところが、調べを進めていく中で、衝撃の事実が判明。
捜査陣に戦慄が走る。
血塗られた狂気と対峙する刑事を描く、激情と慟哭のノワールサスペンス、開幕。