カッパ室長です。
今回は月マガ基地で連載中の漫画 KCデラックス『罪と罰のスピカ』第4巻の見どころ紹介や感想を書かせていただきます。
『親愛なる僕へ殺意をこめて』『降り積もれ孤独な死よ』の井龍一先生の最新作です!
※ネタバレを含むのでご注意ください。
第3巻の紹介記事はコチラ↓↓
『罪と罰のスピカ』
原作:井龍一
漫画:瀬尾知汐
第4巻の見どころ(ネタバレ注意)
“毒姫”から同級生を守れ!!
都麦澄光は殺人鬼に憧れる高校生・十秤天真が連続殺人鬼の“毒姫”こと野菅瑠姫愛と文通をしていることを知る。
瑠姫愛は3人の夫を遺産目当てで自殺に見せかけて殺したとされ、現在無期懲役の有罪判決で刑務所に入っている。
さらに瑠姫愛は獄中でも瑠姫愛の熱烈なファンである毛利大介という男性と結婚し、その後彼が謎の練炭自殺を遂げていたのだ。
そんなミステリアスな女性の瑠姫愛から「私に会いに来てください」という返事が来て、天真は喜んで面会に行ってしまう。
天真の瑠姫愛に対する第一印象は胸は大きいが“普通”の人だった。
しかし話をしていくうちに瑠姫愛の大人の魅力にやられてしまい、天真はその後も面会を繰り返していく。
さらには瑠姫愛から「結婚」を提案されてしまい…
心配になったスピカは瑠姫愛の事件を調べ始めるが、最初の3つの事件は明らかにお金目的だが最後の事件は瑠姫愛に動機がないこと、そして現在瑠姫愛がなぜ天真に近づいているのかなど分からないことだらけだった。
しかし、当時 瑠姫愛は獄中結婚をした毛利大介の他にも2人の男性から求婚されていて、その2人は今も瑠姫愛と面会を続けていることを知る。
最後の事件は刑務所にいる瑠姫愛には直接的な犯行は不可能なため、「協力者」がいると考えたスピカは占い師に扮し、面会を続けている男性たちや瑠姫愛の弟に接触してみるが…
『罪と罰のスピカ』第4巻 P77,78より感想(ネタバレ注意)
第4巻は『死の婚活』編。
3人の夫を殺害した罪で獄中生活を送る“毒姫”こと野菅瑠姫愛に魅了されてしまった同級生の十秤天真を守るため澄光が断罪を決行するお話でした。
瑠姫愛は刑務所にいるため、手に触れることで心を読むスピカがどうやって事件の真相に辿り着いていくのかが見ものでしたね。
主な登場人物はスピカと天真、そして今回のお話の中心となる野菅瑠姫愛。
さらに彼女と面会していた弟の野菅風巳、動画配信者の諏訪井敬、弁護士の渡裕二などがいます。
天真が瑠姫愛と面会する様子や彼らとの会話の様子を見ることで、読者は犯人が誰なのかを見つけ出せるようになっていました。
今回面白かったのは、スピカだけでなく天真も大活躍していたところ。
スピカは事件についてネットで調べたり、面会した男たちに触れることで犯人を特定していきましたが、天真も瑠姫愛と直接会うことで毛利大介を殺した犯人を見つけ出してしまいます。
前半天真は瑠姫愛の大人の魅力にやられて色ボケしてしまったと思いましたが、意外と色々なところに気づいていたり、殺人に関する知識を役立てていたりとカッコよかったです。
『罪と罰のスピカ』第4巻 P20,74より
私は最初犯人は面会していた男たちの中にいると思っていました。
しかしスピカが占い師に変装し手に触れても「毛利大介を殺した犯人がいない」と言ったので驚きましたね。
じゃあやっぱり瑠姫愛が何か洗脳的なことをして自殺に追いやったのかな?と思いましたが、そういうわけでもありませんでした。
なんと毛利大介を殺した犯人は瑠姫愛の担当刑務官の花崎由紀という女性だったのです。
これはマジで盲点でした。
しかもこの犯人を見つけ出したのがスピカではなく天真だったのにも驚きましたね。
天真は花崎が瑠姫愛と同じ髪型をしていたこと、瑠姫愛の唇に触る癖を真似ていることを面会中に気づき、彼女は瑠姫愛に心酔していると分かったようです。
そして瑠姫愛が他の男性と仲良くしているのに嫉妬して犯行に及んだことまでズバリ言い当てていました。
薬物を使った殺害方法も女性が圧倒的に多いなど、これまで得た殺人鬼の知識が役に立ってるのも凄かったです。
最後はちょっと締まらない感じでしたが、見事に犯人を捕まえていて凄いなぁと普通に関心しちゃいました。
こうして今回のお話も一件落着と思わせて、そこからまた読者を驚かす仕掛けを入れてくれるのがこの作品の良い所。
ここからがスピカのターンですね。
このお話のミソは、最初の3つの事件と最後の4つ目の事件は別物だったということです。
つまり最初の3つの事件の真相がまだ明らかになっていなかったのです。
スピカは3人に触れ、毛利大介を殺した犯人は分からなかったけど最初の3つの事件の真犯人の方を見つけてしまったようです。
その真犯人は瑠姫愛の弟の風巳。
彼は自分のことを姉を守るヒーローと思い込んで犯行に及んだようですが、実際は金を手に入れるために人殺ししてたクズでしたね。
瑠姫愛も弟を守るために自分がやったと嘘をついたり、遺産で弟を養うために結婚しようとしていたようでした。
そして風巳は最後は自分が持ってた薬物をスピカに飲まされ、ハイになって飛び降り自殺。
今までしてきたことが自分に返ってきちゃった感じでしたね。
あっけない終わり方でした。
これにてスピカたちの殺人鬼を巡る危険な三角関係も終了。
「どっかにいねえかな…身も凍るような冷血な女殺人鬼~」と愚痴る天真と、それを聞いて笑って「何でもない!」というスピカを見てちょっとキュンとしちゃいました。
『罪と罰のスピカ』第4巻 P154,155より
そして最後は天真の叔父である南爪久郎のお話。
彼は趣味でこれまでの事件を調査し直していましたが、スピカが全ての事件に繋がっていることに気づいてしまいました。
この人メチャクチャ有能ですね。
スピカはバイト先のドーナツ屋で顔を合わせていましたが、南爪に調査されていることに気づいているのかな?
今後南爪に追い詰められてしまうのか、それとも上手く逃げ切ることができるのか。
この二人の攻防にも注目ですね。
単行本第5巻は2025年12月頃発売予定です。
井龍一先生の他の作品紹介
『降り積もれ孤独な死よ』
富字山南警察署の刑事・冴木仁は空き巣の通報を受けて、とある屋敷へ。
ところが、調べを進めていく中で、衝撃の事実が判明。
捜査陣に戦慄が走る。
血塗られた狂気と対峙する刑事を描く、激情と慟哭のノワールサスペンス、開幕。


