どうも。
今回は三秋縋さんがネット上でアップされたショートストーリーをloundrawさんがコミカライズした話題作を紹介します。
『あおぞらとくもりぞら』
作画・ストーリー構成:loundraw
原作:三秋 縋
どんな内容?
「僕の仕事は、主に部屋の掃除でした。」
これはただの掃除ではありません。
身辺整理。
それも他人の部屋をです。
二十歳の誕生日から人の体を乗っ取り操作する能力を得てから青年は、≪標的≫とされた人物を自殺に見せかけて処理していました。
≪標的≫の顔と指令は脳裏に浮かんでくるらしい。
自殺の手順は以下の通り。
①標的の体をのっとる
②自殺をほのめかす
③身辺整理をする
④遺書を用意する
⑤自殺する
そういうわけで、青年は自分の仕事を二重の意味を込めて≪掃除人≫と呼んでいました。
今まで6人の≪標的≫を処理してきた青年は7月のよく晴れた日に7人目の指令を受けます。
それは押せば倒れそうなほど華奢で、触れると汚れそうなほど色白で、神経質そうな目つきをした、いつも遠くばかりを見ている、そんな女の子でした。
青年はいつも通り≪標的≫を乗っ取ってみますが、今回はどこか違和感を感じます。
少女は学校では孤立をしていて、家に帰ると身辺整理するほどの物がなく、順調に仕事が進みすぎていました。
しかし、遺書を書いたときにはじめて少女が反抗したのです。
「まって」
命乞いをすると思っていた青年でしたが、少女からは予想外の言葉が出てきました。
「遺書の文面を少し弄らせてほしいんです」
自殺理由が気に入らず、遺書を書き直させた少女は死ぬことを恐れていませんでした。
そして青年は少女は初めから自殺する気でいたのではないかと考えます。
自分が上手いこと利用されたのが気に入らなかった青年は殺す前に少し少女をいじめて、少女の口から『死にたくない』という言葉をひきずりだしてから殺してやろうと思い立ちます。
―思えば仕事に私情を挟んだのはこれが初めてのことでした。
ここが魅力的!
原作の三秋縋さんは「死」をテーマにした作品が多いですね。
この作品も「死」がテーマの悲劇愛のストーリーです。
人の体を乗っ取る能力を得た青年が標的を自殺させるところから物語は始まります。
これまで標的の体を乗っ取って自殺させてきた青年でしたが、7人目の標的である女子高生はいつもと違っていました。
自殺したがっていた少女をいじめながらも生きる喜びを見つけさせてあげて、それから殺そうとします。
しかし、青年は少女に恋をしてしまいます。
青年は”あおぞら”と名乗る少女の前に現れ、自分は”くもりぞら”と名乗り交流を深めていきます。
そして青年は少女がなぜ殺されることを恐れていないのか知ることとなるのです。
殺す者と殺される者との不思議な恋愛。
はたして”くもりぞら”は”あおぞら”に生きる喜びを教えることはできるのでしょうか?
「死」がテーマなだけあって少し話は重ためですが、とても面白い作品です。
気になった方は是非読んでみてください。
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おわり