本日は『荒川アンダーザブリッジ』や『聖☆おにいさん』で有名な中村光さんの新作を紹介します。
『ブラックナイトパレード』(中村 光)
どんな内容?
主人公の青年・日野三春(ひの みはる)は大学受験に失敗し、就活にも敗れ、コンビニ「ポーソン練馬北口店」で夜間アルバイトを3年間続けていました。
真面目に働く三春でしたが、チャラくて仕事もせず廃棄弁当を貪るような後輩・皇帝(カイザー)が自分より先に内定を手にしたことを知り、ショックを受けます。
さらには可愛い彼女がバイト先に迎えに来て無断で早退し、クリスマスデートを楽しむ始末。
追い打ちをかけるように三春は店長から廃棄のケーキを食べたと疑われてしまいます。
「なんで俺だけが」
とうとうキレた三春は初めて廃棄のケーキを盗んで家に帰るのでした。
その様子をポーソンの看板の上から見ている黒いサンタの男。
三春はアパートに着くと家の前にホルモン屋台があることに気がつき、覗いてみるとそこには黒いサンタの店主がいました。
屋台で飲みつぶれた三春は黒いサンタに愚痴をこぼしつつ、なぜ黒いサンタなのか尋ねます。
すると黒いサンタは
「本場のクリスマスには必ずサンタが2人来て、良い子の所に赤いサンタが、悪い子の所に黒いサンタが来て石炭や獣の臓物をプレゼントする、もっと悪い子には鞭を…」
と言って三春の横を鞭で打ちつけるのでした。
驚く三春に今度は首元に何やら液体がかかります。
見上げるとそこには大きな口からよだれを垂らす巨大な袋の化け物がいたのです。
「もっと悪い子には鞭を…もっと悪い子には…」
黒いサンタが言い終える前に袋は三春を飲み込んでしまうのでした。
気がつくと三春は見知らぬ部屋のベッドに寝ていて、部屋から出ると先ほどの黒いサンタ・クネヒトがいました。
クネヒトは先ほどの説明を続けます。
「『とっても悪い子は袋に詰めて攫われる』そして赤いサンタクロースと良い子達のクリスマスのために働くんだ」
そしてクネヒトは三春に「内定だ。今日からよろしく頼む」と告げます。
この会社は月収は手取りで30万、残業代・ボーナス・昇給有で1日3食付きの寮生活。
三春は就職するのでした。
ここが魅力的!
サンタクロースの物語ですが、この物語ではサンタクロースが2人います。
赤いサンタクロースと黒いサンタクロース。
日本では赤いほうのサンタは良く知られていますが、黒いサンタはあまり知られていませんね。
黒いサンタはドイツに伝わるクリスマスの伝承で悪い子を見つけてはやってきて、お仕置きや嫌なプレゼントして回る悪魔的存在なんだとか。
そんな黒いサンタのもとで働くことになった三春。
そこで三春は良い子のために働くのではなく、悪い子用のがっかりプレゼント選びをすることになるのです。
嫌がっている三春でしたが、そこで思いもよらぬ才能が発揮して…
この物語では赤いサンタクロースは死んでしまっているとのこと。
ここら辺の理由も詳しく知りたいですね。
またこの会社は終身雇用ではなく「良い子」になったら働けなくなってしまいます。
終身雇用が望むなら人でも2,3人殺すか、”赤いサンタになるか”のどちらか。
果たして三春はこのままここで働き続けることができるのか。
まだ物語も登場人物も謎が多いです。
今後の展開がとても気になります。
おわり