カッパ室長です。
今回はヤングガンガンで連載中の漫画 ヤングガンガンコミックス『翠花は少子化担当』の第1巻を紹介させていただきます。
※ネタバレを含むのでご注意ください。
『翠花は少子化担当』
著者:石川秀幸
どんな内容?(ネタバレ注意)
少子化対策で奥さんが“配給”される!?
20XX年、少子化が続いた日本は衰退していた。
小説家を目指す冴えない男性・楪秀樹(34)は生まれてくる時代を間違えたと嘆く。
子供たちに夢と希望を与える話を書きたい秀樹だが、そういう話を書くことは国から禁じられ、男女が出会い恋愛し子供を沢山産み育てるような国策恋愛ラノベしか書くことが許されないのだ。
絶望した秀樹は親の資産を食いつぶしながら引きこもりの生活を続けていた。
するとある日、秀樹のもとに「わたしと子作りしてください」と16歳の少女が奥さんとして“配給”された。
少女の名は翠花。
今の日本は少子化対策に全て失敗しており、年間死者数は300万人を超え戦時以上の惨事となっていた。
亡国の危機を回避するため国民の義務である納税・教育・勤労に加え「子作り」が義務化され、翠花のように14歳を超えた女子学生は2年の訓練を経て「少子化担当少女」として全国の独身男性のもとに配給されるようになっていたのだ。
さらに今の日本の法律では男性は35歳までに子を儲けないと10億円追加徴税されることになっていた。
そのことを聞かされ死のうとする秀樹に翠花は「これから生まれる子供のためにこの日本の未来を変えましょう」と説得する。
しかし翠花は極めて真面目な学生で極めて恥ずかしがり屋な女の子だった。
人生に絶望し死にたい男と恥ずかしがり屋の少女。
そんな二人が前代未聞の国策で刺激的な同居生活を始めることになるのであった。
感想
この作品は荒廃した近未来の限界子作りラブコメディーです。
少子化により衰退したため「独身男性のもとへ奥さんを“配給”する」という前代未聞の国策を実施する日本が舞台となっています。
奥さんの“配給制”とはかなりぶっ飛んだ設定ですよね。
ですが、どんな少子化対策も失敗に終わっていたのだとしたら、これぐらいの政策でないと効果は出ないのかもしれません。
この作品を読むと少子化の恐ろしさを理解することができます。
少子化とはただ子供の数が減り、老人が増えることで若い世代の税金負担率が上がると認識している人が多いと思います。
実際はそれだけでは済まないようです。
若い世代の人口が減ると税収も減っていきます。
そうなると道路や水道、電気などのインフラを直す人材や予算がなくなっていきます。
すると地方だけでなく都市部までも崩壊していくのです。
人が減り農家などの第一次産業を担う人間がいなくなっていくことで食料もなくなっていきます。
また人がいなくなった場所から危険野性生物が侵食し始め、残っている農作物なども荒らされていくことでしょう。
さらに国力がなくなっていくと小麦などの国際的に需要の高いものは他の国に買われてしまい、輸入することもできなくなってしまいます。
こうなるともう日本は生き残ることはできず、消滅してしまうのです。
それを食い止めるため、この作品では奥さんを“配給”し、無理やりにでも子供を作らせようとしているのですね。
あと35歳までに子供を儲けなければ10億円追加徴税というのも、若者に何が何でも子供を作らなくてはと焦らせる脅しとしては良いものなのかもしれませんね。
翠花のように14歳になった女子学生は国から臨時招集の手紙がきて、江田島救国花嫁学校という場所で訓練をさせられるようです。
これってもう戦時中の赤紙みたいでちょっと怖いですね。
この学校では「良い奥さん」について学ばされるようですが、子作りの方法などの♡♡♡なことは一切教わらないようです。
それは男性は無垢な子のほうが好きだからなんだとか。
はたしてそれで上手く子作りができるのか、ちょっと不安ですよね。
清楚で真面目、胸も大きくスタイル抜群の翠花ですが、恥ずかしがり屋という欠点があり上手く♡♡♡なことができずにいます。
また学校で規制されているためなのか、恋愛についてもまったく知らない様子。
そして秀樹のほうも自分は人間のクズだと思い込んでおり、自分の家から出ることも出来ず、人間不信に陥っています。
そんな二人が恋愛をし、無事に子供を作ることができるのか。
次の巻では新たなヒロインも登場するようだし、どうなっていくのか気になりますね。
単行本第2巻は2024年冬発売予定です。
おわり