今回はちょっと不思議なラブストーリーを紹介します。
『昴とスーさん』(高橋那津子)
どんな内容?
小さなアパートにふたりきりで暮らす澪と昴(スーさん)。
朝寝坊をして仕事に遅刻しそうになる澪を起こし、ごみ捨てを手伝う昴。
はたから見れば年の離れた仲の良い姉弟です。
しかし、実は彼らは姉弟ではなく恋人同士だったのです。
彼らの部屋にある写真立てには澪と昴によく似た青年のツーショットが写っています。
そう、昴は元は大人の男性でしたが、ある日突然子供の姿になってしまったのです。
二人はこのことを隠しながら、いつか昴が元の姿に戻ることを信じ生活を送っています。
大人の姿のころの昴は、レストランの厨房で働いていて、オーナーとも仲が良く、よくからかわれていました。
澪の誕生日に昴は店でディナーをふるまい、仕事終わりに一緒に帰っていました。
その日は街が濃霧に覆われており、霧の景色がきれいな公園で
昴は澪に指輪をプレゼントしキスをします。
そして…
澪が目を開けると昴が子供の姿になっていたのです。
あの日と同じ条件ならば、昴は元の姿に戻れるかもしれないと考え、濃霧が出る日に同じことをしてみようと提案します。
もしこれで元に戻らなかったら、もしもっと小さくなってしまったらと不安になる澪。
そしてついに街にあの日と同じように濃霧が出るとの予報が出ました。
二人はあの日と同じ場所へ向かい、あの日のように指輪を付けてキスをします。
しかし、昴は元の姿に戻らず子供の姿のまま。
哀しい表情を浮かべる昴に「どんな姿でもスーさんがいてくれたらそれでいい。一緒に家に帰ろう」と言って抱きしめる澪。
小さくなったことに何か意味があるのか、不安を抱きながらも昴と澪は新しい一歩を踏み出していきます。
ここが魅力的!
初めは二人がどのような関係なのか一切説明がない形で始まります。
しかし、昴の行動や澪との会話や空気、二人の首にかかっている指輪から推測できるようになっています。
このような何気ない会話や描写から二人の心情を読者が想像して楽しめるようになっているのが魅力の一つだと思います。
また昴が子供の姿になってしまっていますが、コナン君のようにはっきりとした原因がなく、なぜ子供になってしまったのか謎のままというのも今後の展開がわからなくてとても面白いです。
元に戻れなかったシーンの絶望感はほんとに辛かったです。
でも、変わらぬ愛で昴を支え続ける澪が本当に愛おしいです。
昴もそんな澪や周りの人間のおかげで新たな一歩を踏み出していきます。
どんな姿でも二人は愛し合い、幸せに暮らしていこうとする姿に読んでいて感動します。
昴が小さくなった理由はいったい何なのか。
はたして昴の体は元に戻るのでしょうか。
切ないけれど温かいちょっと不思議なラブストーリーの今後がとても気になります。
第3巻では昴の過去を知る人物が登場し、衝撃の事実が…
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おわり