どうも。
カッパ室長です。
本日は「生きること」について考える新感覚の教師物語を紹介します。
『ここは今から倫理です。』(雨瀬シオリ)
どんな内容?
舞台は高校3年の倫理の選択授業。
この倫理の授業を受け持つ高校教師が高柳です。
目つきが悪いですが、顔はとてもイケメンで一部の生徒に好評でもあります。
選択授業では人気があって抽選になる科目がある中、倫理の授業では15人の生徒が集まりました。
高柳は最初の授業で、淡々とした口調で「倫理は学ばなくても将来困る事はほぼ無い学問」と説明します。
説明を聞き、唖然とする生徒たち。
そんな中、一人の生徒は高柳に興味を抱いていました。
逢沢いち子。
彼女は1年前に高柳に男子生徒との性行為を咎められて以来、彼のことが気になっていました。
逢沢は高柳を誘惑しますが、あっさり受け流されてしまいます。
「私は”教養”がある女性がタイプです」
そう言われた逢沢は彼を見返してやろうとボールペン字のテキストを買い、勉強を始めます。
素行も改善されてきた逢沢でしたが、今まで遊んできた男子生徒たちから反感を買ってしまい、強姦されそうになります。
そこへ高柳が現れ、手を挙げることなく、言葉だけで彼らを追い払います。
そんな高柳を見て逢沢は、今度は真剣に彼に告白をし、彼に見合うような女性になることを宣言します。
そんな逢沢に高柳は
「”愛こそ貧しい知識から豊かな知識への架け橋である” マックス・シェーラー」
と、ドイツの哲学者の言葉を言って教室を去っていくのでした。
ここが魅力的!
本当に色々考えさせられる漫画です。
この漫画は高柳の授業を受ける生徒たちの話がオムニバス形式となって描かれています。
どの話も「生きること」がテーマとなっていて、それについて考えるお話です。
高校3年生という多感な時期の少年少女たちの悩みや苦しみを高柳が解決していきます。
解決の仕方も少し変わっていて、高柳は悩んでいる生徒たちに真正面からぶつかっていくという感じではなく、そっと優しく語り掛けるようにしてくれます。
そのおかげか、生徒たちも少しずつ高柳に心を開いていきます。
いつも淡々とした口調で授業を進める高柳ですが、生徒の危機など想定外の事態になった時は人間らしい表情もします。
そんな人間らしい一面もあるためか普段の冷たい感じも嫌な気持ちになりません。
それぞれのお話で高柳が偉人たちの名言を生徒に言うシーンがあり、その言葉が胸にジーンときます。
名言も難しすぎず、読者にも分かりやすいものがチョイスされているためか、スッと頭に入ってくる感じがします。
生徒だけでなく、高柳自身、そして読者も一緒になって「生きること」について真剣に考えていくことができます。
きっとこれからの人生で悩むことや苦しいことがたくさん起こることでしょう。
そんなときこの作品を読むことで、みなさんの心が少しでも救われれば良いなと思います。
おわり