こんにちは。
カッパ室長です。
今回はヤングジャンプコミックス『可愛そうにね、元気くん』第8巻の見どころを紹介させていただきます。
※ネタバレを含むのでご注意ください。
第7巻の記事はコチラ↓↓
『可愛そうにね、元気くん』(小宮 海)
YouTube“ヤンジャンTV”より
第8巻の見どころ(ネタバレ注意)
文化祭
文化祭の準備が始まり、元気は鷺沢によって八千緑と元気、鷺沢の3人で美術係にさせられてしまう。
元気は自分みたいな気持ち悪い奴と一緒に作業することになって八千緑に申し訳ないと思っていたが、そんな元気に八千緑は笑顔で「廣田くんと一緒の係がいいって思ってたもん」と言ってくれて元気は戸惑ってしまう。
作業が始まり、八千緑はこれ以上人に嫌われないよう、迷惑をかけないようにと必死の形相で看板作成に取り掛かる。
しかし、元気に絵具を渡そうとして過って絵具を看板にぶちまけてしまう。
失敗したって何したって八千緑に楽しんでもらいたいと願っている元気は、動揺する八千緑に対し、こぼしてくれたことでより良い構図になったと八千緑の失敗をむしろ成功につなげる素晴らしいフォローを見せる。
そして元気たちが作製した看板はみんなが絶賛するほどの出来になり、八千緑の素晴らしい笑顔を見ることができた。
この一件でクラスの輪にとけこむことができしっかり前へ進み始めた八千緑なら、きっとこのまま壊されたいだなんて思っていたことは忘れていける、だからもう自分は八千緑の近くにいないほうが良いと元気は考えた。
そして文化祭当日。
鷺沢と八千緑の可愛さもあってクラスの出し物は盛況となった。
休憩時間も元気は八千緑と文化祭を回り、楽しい時間を過ごした。
しかし直後、元気は地獄に叩き落されることになる。
みんなで楽しくクラスのラーメンを食べているところに励一がやってきて、みんなの前に元気が描いた八千緑を凌辱した同人誌を置かれ、元気の秘密が暴かれてしまう。
「なぁ どんな気持ちでそこに座ってるんだ?」
逃がすかよ お前はここで終わるんだ
ありがとう
励一のせいで学校から逃げ出し、元気は学校に通えなくなってしまった。
そのころ、八千緑と鷺沢が対峙していた。
「元気くんに使ってもらうのが私の幸せ。私なんにもできないけど元気くんの役に立てるだけで充分…」と言う八千緑に鷺沢は、
「本当に何も出来ないと思ってるの?本当にそんな事が幸せなの?」と問いかける。
鷺沢は自分から何も努力をしないで悲劇のヒロインぶっている八千緑にいらだっていた。
「私はそんなの嫌。
何もしないで消費されて得る居場所ならいらない。
私は私が楽しく生きる為になんでもする。なんだってできる。
あなたはそうやって一生悲劇のヒロインやってなよ。」
後日、家に引きこもる元気のもとに八千緑が訪れる。
土下座して謝る元気に八千緑はまた一緒に学校に行こうと言ってくれる。
しかし元気は、
「なんで。
八千緑さんが殴られる漫画を描いてオナニーしてた。
そんな事が出来たのは八千緑さんをモノとして見てたからだ。
こんな奴に何でそんなこと言うの?
わかってるよね。俺がおかしい奴だって」
と、自分は許されるべき人間ではないと語る。
そんな元気に対して八千緑は笑顔で「うん。気持ち悪い。」と言った。
八千緑は自分が誰かの役に立つだけの存在ではないことを知り、これから自分が楽しむことを見つけたいと語る。
それでも八千緑はあの時は元気に殴られて幸せで今でも殴られて褒められたいとも思っていると言う。
そして、
「だって私元からおかしいから
きっと 生きてておかしくならない人なんていないよ」
と、優しく元気を抱きしめて言うのだった。
最後に元気が描いた同人誌を置き、
「これは返すね。生きるために必要だと思うから。
…今まで なんの役にも立たなくたって ただ傍にいてくれてありがとう。」
そう言って八千緑は部屋をあとにするのだった…
感想
今回でこの倒錯系ラブコメも最終巻。
最後の最後で励一くんがやってくれましたね。
ちょっとこの終わり方は想像していなかったので、読んだ時かなりビックリしました。
結末はまさかの元気くん転校エンド。
八千緑さん、鷺沢さんどちらを選ぶことなく終わってしまいました。
せっかく八千緑さんもみんなと仲良くなれて、みんなハッピーな感じに進み始めていたところを一気にぶち壊してくれました。
励一くんも大好きな七ちゃんを守りたくて必死だったんですね。
この作品に登場する人物はみんなちょっとおかしくなってる感じがします。
鷺沢さんも自分が楽しく生きるためになんでもするとカッコイイこと言ってますが、それで被害者たくさん出てますからね。
元気くんはホント色んな人に人生グチャグチャにされちゃってますね。
でも最後に大天使八千緑さんによって元気くんは救われ、新たな一歩を踏み出していきます。
鷺沢さんからの呪縛も自力で振り払っていきました。
そして物語は10年後になり…
社会人になった元気くんは偶然、八千緑さんと再会します。
八千緑さんはラーメン屋の店主となっていて、しっかり自分が楽しいことを見つけ実現していました。
鷺沢さんだけが、その後どうなったのか描かれてないのがちょっと気になりますね。
また元気くんのような人を捕まえて犬にしているのか、それともずっと元気くんのことを想い続けているのか。
おまけ漫画では「あったかもしれない世界線でみんなが仲良くお酒を飲むシーン」が描かれていましたが、そこでも鷺沢さんだけ職業やどんな暮らしをしているのか伏せられた状態でした。
最後までミステリアスな女性でしたね。
私はこの作品は「みんな生きていればおかしなところや人とズレているところがある、だからそれでも前を向いて生きていこう」ということを伝えたかったんじゃないかと思います。
今の世の中、人と違うことで生きづらいこともたくさんあります。
それでも楽しいことはたくさんあるし、自分の努力次第でいくらでも道は開けていけるということをこの漫画を読んで再確認することができました。
ちょっと悲しい物語でしたが、とても心に残る作品でした。
おわり